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歳をとると歯がのびたように感じるのはなぜなのか

歳をとると歯がのびたように感じるのはなぜなのか現役歯科衛生士が解説していきます。

 

歳を重ねるにつれて、多くの人が「歯がのびた」と感じることがあります。この感覚は、実際に歯が物理的に長くなるわけではありませんが、見た目や口腔内の感覚の変化が影響しています。では、なぜ年齢とともにこのような感覚が生じるのでしょうか。本稿では、加齢による歯の見た目の変化やそのメカニズム、関連する口腔の健康状態について詳しく解説します。

 

 

 

1. 歯の成長と変化

一般的に、成人の歯は成長が止まった状態です。しかし、加齢とともに歯の状態や口腔内の環境が変化するため、見た目に影響を及ぼすことがあります。具体的には、歯茎の後退やエナメル質の摩耗が、歯の見え方や感覚に影響を与えます。

 

 

2. 歯茎の後退

歯茎の後退は、年齢を重ねることでよく見られる現象です。加齢に伴い、歯周組織が弱くなり、歯茎が下がることがあります。これにより、歯の根元が露出し、見た目には「歯が長くなった」と感じることがあります。特に、歯周病や適切な口腔衛生が保たれていない場合、歯茎の後退が進行しやすくなります。

 

 

3. エナメル質の摩耗

歯の表面を覆うエナメル質は、食事や摩擦によって徐々に摩耗していきます。年齢とともにエナメル質が薄くなると、下にある象牙質が露出し、歯の色合いや形状が変わることがあります。この変化により、歯が大きく見えることがあります。また、象牙質はエナメル質よりも黄色味が強いため、見た目の印象も変わることがあります。

 

 

4. 口腔内の乾燥

年齢が進むにつれて、唾液の分泌が減少することがあります。口腔内が乾燥すると、食べ物の残りや細菌が口腔内に留まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが増加します。また、口腔内の乾燥感や不快感が強くなることで、「歯がのびた」と感じる要因になることもあります。

 

 

5. 顎の骨の変化

加齢とともに顎の骨の密度が減少することがあります。この骨の変化が、歯の位置や見た目に影響を与える場合があります。顎の骨が減少すると、歯が相対的に「浮いて」見えることがあり、その結果、歯が長く見えることがあります。

 

 

6. 噛み合わせの変化

歳を取ると、噛み合わせが変わることがあります。歯の摩耗や歯周病により、噛み合わせが悪くなると、歯が見え方や機能に影響を及ぼします。噛み合わせの不具合により、歯が過度に磨耗したり、傾いたりすることがあり、これが「歯が長くなった」と感じる一因になることがあります。

 

 

7. 視覚的な要因

加齢に伴い、皮膚や顔の構造も変化します。たとえば、顔の皮膚がたるむことにより、口元の見え方が変わり、歯の見え方にも影響を及ぼします。このような視覚的な変化が、実際には歯が長くなったわけではないのに、そのように感じさせる要因となります。

 

 

8. 予防策とケア

歳をとると歯や口腔の健康が重要になります。定期的な歯科検診や適切な口腔衛生を心がけることで、歯茎の後退やエナメル質の摩耗を防ぎ、健康な口腔環境を維持することが可能です。特に、歯周病予防には、毎日のブラッシングとフロス使用が効果的です。

 

 

 

まとめ

 

歳をとることで「歯がのびた」と感じる理由は、主に歯茎の後退やエナメル質の摩耗、顎の骨の変化などによるものです。これらの変化は、年齢に伴う自然なプロセスですが、口腔の健康を維持することで影響を最小限に抑えることができます。定期的な歯科検診や適切な口腔ケアを行うことで、健康的な口腔環境を保ち、歳を重ねても自信を持って笑顔を見せられるよう努めましょう。